君とまどろみ

いつも眠たそう

思い出したら、思い出になった

 

わたしはいまアーモンドの香りのする煙の中で、ジンを飲んでいる。隣で腰掛ける恋人がわたしの首に唇を這わせる。とても気分がいいがそれには応えず、ついさっきのことを思い出す。実は恋人が帰ってくる前、かつて愛した昔の彼に電話をした。「君にとってわたしはどんな存在だった?」と聞く。彼はいつだって欲しい言葉をくれる。その言葉を頭の中で反芻したあと、恋人の頬にキスをする。わたしは隣にいる恋人を愛している。

 

糸井重里さんより